LOGIN「な……っ、私の奥義でも滅却できないなんて……?!」 アリアが驚きと困惑の声を上げる。「フッ、さすがは神の奥義。だが貴様の技はあの腑抜けの記憶から全て知っている。アストラリア、貴様では俺には勝てん! さあ自分の技で自分が吹っ飛べ!!」 傷だらけのまま起き上がり、暗黒剣を頭上高く構えるナギストリア。嘘だろ!?「ジェノサイド・エクスキューション!!!」 黒いレーザーのような剣閃がヤツの大剣から放たれる! マジかよ、アレを撃てるのか?「くっ!」「「避けろ/て! アリア!!!」」 サーシャとルクスの二人が寸前のところで、アリアをその軌道線上から救い出す! ゴオオオオオオオォウッ!!!! 黒い一撃が通り過ぎた跡は、大地が黒く爛れ、腐敗臭がする。負のエネルギーの影響か? その地面を見ているだけで吐き気がしそうだ。「フン、避けたか……。ハア、ハア……大人しく闇に飲まれれば良いものを……」 ナギストリア、かなり消耗しているようだな。これなら勝てるかもしれない。「仕方ねえ、三人同時にいくぜ! 最大出力だ、構えろ!!」「ええ、そうですね……、これで私達の過ちを消し去ることができるのなら」「仕方ないわね、やるしかない!」 三人がそれぞれの神器を構える。「分かたれよ、クローチェ・オブ・リーブラ!」 パキィーン!! アリアの神器が2つに分離し、それぞれの手に握られる。あれは二刀にも変化するのか? ならば二刀流の奥義を使うということか、初めて見る。ならばヤツも知らない技ということになるな……。「いくぞ! 神格を燃やせ、神気を高めろ!!」「「「はああああああああ……!!」」」 三人の神気が高まり、天高く渦巻く! 離れた此方までその余波がビリビリと伝わって来るほどだ。「うぅ……、凄まじい神気だ……。近づくのも危険なくらいに」「うむ、神が三位一体となって放つのだ、小規模ながら宇宙創造のビッグバンにも匹敵するほどの力が生まれる。いくらヤツとて無事では済まん。ゆけ! 我が子達よ、あの悪鬼を消滅させるのだ!!」 大丈夫なのか? 想像もつかないが、エリシオンが崩壊するかもしれないほどの力の高まりを感じる。ダメだ、立っていられない。力なく膝を着く。「喰らえ! 軍神の闘気を! 奥義・エクスプロージオ・カノン
ナギストリア? 誰だよ、俺の元の名を捩ったようなこいつは。「ククク……、漸く自分の肉体を得ることができた。神の秘術を使って俺を転生させてまでその体から取り出すとはな。しかも貴様らはあの時の三人、それに大神までもがガン首揃えるとはありがたい。さあまとめてぶっ潰してくれる!」 背中から巨大な黒い大剣を抜くナギストリア。おいおい、いきなりバトル展開かよ、説明してくれ。「待て、何なんだそいつは? ちゃんと教えてくれよ」「……っ、彼は私達神々が二回目の大虐殺のときに救ったときのあなたです……」 アリアが口を開いた。「ああ、だがまるで感じが違う。あんな物身に着けてはいなかった、何の力も持たない只の人間だったはずだ」 ルクスも知っているのか。だが俺の心の中で語り掛けてきたヤツの証言と一致する。ここが全ての憎悪の始まりとか言ってたしな。「あれが……、遠い過去の俺の姿なのか?」「ええ、その通りよ。彼とあなたの大切な人、今はアヤと名乗ってるのよね、彼女と一緒に救出したときのあなた。でも、まだその時の姿を保っているなんてね……」 サーシャも現場にいたということだな。「だがあの異常な禍々しさは何だと言うのだ? あの時のヤツにあのような力などなかったはずだ……」 ゼニウスは大神だ、さすがに知っているってことか。アリアと話して聞いた限りじゃ、単なる普通の人間だったと言ってたしな。それにしては異常だ、とても人間には見えない禍々しさ。鑑定しても何も視えない。体を乗っ取られた時も俺より遥かに強力な技を放っていたし……、わからないことばかりだ。「やはり神というものは蒙昧だな。貴様らは自分達の行いが全て正しいと思っている。救済だと? 笑わせるな! 俺とアガーシヤを救うと言っておきながら、一緒にいた俺達の家族や友人達までを惨殺したクズ共が何をほざく。それに俺達はあの時言ったはずだ、大切な人達を殺されてまで、貴様らのそのくだらない救済など受けたくないと……。無力な自分に歯ぎしりしながら、泣きながら訴えたはずだ。彼らと一緒に殺してくれとな……。それを……、そして勝手な救済とやらで別世界に飛ばしやがった。そのせいで俺もアガーシヤも余計な苦しみを味わうことになったのだ……、気の遠くなるような年月をな!」 そうか、そういう理由があったのか……。恐らくアガーシヤとはアヤのことだ。ヤツを
転移で到着したと同時に、恐る恐る目を開ける。「ここが…、天界…?」 一面の花畑、いや、美しい花々が咲き乱れる世界だ。そしてギリシャ神話に出てくるような建物、上がシンプルな柱はドーリア式、豪華な装飾が付いているのはコリント式、その中間くらいの装飾はイオニア式だったっけ? 実際に見て知ってるのはパルテノン神殿みたいな建築様式くらいだが、そんな豪華な装飾の建物が一つ一つは離れているがどこかしこに建てられている。どこからか琴の音も聞こえてくる。花々にはこれまた見たこともない綺麗な蝶や、羽の生えた小さな妖精達が戯れている。「すごい、なんて美しい……」 陳腐な台詞しか出て来ない。それ程目の前に広がる光景に圧倒された。「ここが神々が済む至上の楽園エリシオン、ですが天上にあるわけではありません。あらゆる世界へと繋がる次元の中心に存在すると言った方がいいでしょうね。さて、物見遊山ではないので早く行きましょう、あそこへ」 アリアが指差した方角の一際小高い丘の上に、一番大きく、豪華な神殿が見える。もう少しこの綺麗な景色を堪能していたいが、仕方ないか。花が咲き誇る中を駆け抜けて、丘の上へと続く階段を昇る。振り返って上から眺める景色もこれまた凄い。何処までも果てのない花の園。あの平原でずっとゴロゴロしていたいと思うという欲望に駆られてしまう。まあ、それはまた次に来れたらでいいか。転移で来れるのなら俺にも来れるかも知れないしな。そうこうしている内に丘の上に到着。 そこには白髪のこれぞ神話の神様って感じのイメージの威厳溢れるムキムキのじいさん。古代の白いギリシャ装束に立派な髭を蓄えた人物が、俺達を待っていたかのように腕を組んで立っていた。見た目はじいさんだが、いかつい。そして全身の筋肉が凄い。ボディビルのポーズ取って欲しい。そしてその立派な髭をわしゃわしゃしたい。「待っておったぞ、アストラリア。そしてお主がカーズじゃな。話はこやつから聞いておる。余は大神ゼニウス、全ての神の親にしてこの天界を治める者だ!」 同時に彼の体から目を開けていられない程の眩しい光が放たれる。後光か? だが眩しすぎて何も見えねえよ。「ゼニウス様、お言葉ですが……。その後光鬱陶しいのでやめてください」 気のせいかな? アリアにツッコミ入れられてる?「ハッハッハ! スマンスマン、久方振りの下界からの
誰だ?! 心の中に声が響いて来る。しかも且つての自分自身の声だ。だが、こんなにも悍ましく憎悪に塗れた様な不気味な声、聞いたこともない……。(お前は今、怒りという負の感情に飲まれたのだ)「ぐ……、うっ……、ぐああああああああ!!!!」 何だ? 勝手に魔力が、しかも常闇のような真っ黒な魔力が体から溢れてくる。制御も出来ない。何だってんだ!?「お前は俺にとって一番言ってはならないことを口走ったな……」 誰だ? 誰かが勝手に喋っている。自分の体が言うことを聞かない。(あの雑魚に怒りを感じたのだろう? バカな犬だ、最愛の者を何度も失ってきたお前の心に一番言ってはいけないことを……)「「「それがどうした?!! なんだ?? 怒ったのか邪神殺し!!」」」 やめろ! 余計なことを言うな! コイツは俺じゃない、死ぬぞ!!!「ククク……、やはり死にたいらしいな……。まさか自殺願望者だったとは、なら望みを叶えてやろう」 くそっ! どうなってる!? 誰なんだよ、俺の体を勝手に操っているのは。更に黒い魔力が竜巻の様に吹き荒れていく。「「「な、なんだ……、コイツのこの異常なドス黒い魔力は?! しかも赤だった髪の色まで真っ黒に……。どうなってやがる?!!!」」」 なっ、今の俺はそんな風に見えているのか? くそっ、マジでどうなってるんだ! お前は誰なんだよ?!(お前がこれまで数千年に渡って積み重ねてきた、世界へ対する憎悪とでも言っておいてやろう) なんだと、ふざけるなよ……! 俺にはもはやそんなものはない、それに今の俺には関係ないことだ! 俺の体を返しやがれ!(今のお前は覚えていなくとも、俺はもう長い年月をお前と共に過ごして来たのだ。これまで繰り返してきた輪廻の数、その数え切れない人生の間ずっとな) それは過去の俺だ! 過程はどうあれ今の俺には関係ないだろう。さあ、さっさと俺の体から出て行けよ。さっきからずっと変な感じがしてたのはお前のせいだったんだな。(心配するな、こういう奴らが許せないんだろう? 甘いお前の代わりに、殺さないよう痛めつけておいてやる。お前に本当の力の使い方というものを教えてやろう) やめろ! 話を聞け! もう勝負なんてついてるんだよ!!「さっき流星とか言ったな……? 本当の流星がどんなものか、そしてその星々が砕け散る様を見るがいい。お前の
やっと来た出番だ。舞台に飛び乗った俺にもありがたいことに声援が飛んでくるんだが……。「あいつが邪神殺しだろ? 女みたいだなー」「それパレードのときにも思った!」「でも途轍もなく美しいわ!」「貴族姓が姫と同じだぞ?!」「ということは……、マジかよー」 などと、まあいらん野次も聞こえてくる。ったく誰だよ……、その呼び名考えた奴は。あのハゲ長男か? 確かに俺の称号にも加わっていたけどさー、まるで俺が悪い奴みたいなんだよな。徐々に大きくなる邪神殺しコール。 いやーこれはマジでやめて欲しい。早速パパさんに役に立ってもらおうか。(義父さん、あの不名誉な二つ名呼びを止めさせてくれよ、声が大きくなる魔法かけるから叫ばなくていいし) 通信・念話のスキルについては、アヤの念話の話をしたときに伝えてある。すぐに返事が返ってきた。(うむ、大切な我が息子の頼みだ。任せておけ!) 舞台からラウダー・ヴォイスをかける。無茶苦茶言わなければいいんだけどなあ。「「「観客諸君、私は国王フィリップだ。カーズはこの国を救ってくれた英雄にして、私の愛する息子も同然! 二度とそのような不名誉な二つ名で呼ぶことは許さん! 応援するのであれば勇敢な彼の名を呼べ! これは王命である! そしてこれは全王国民にもお触れを出す、破ったものは禁固刑は免れぬと思うように!」」」 うん、やっぱやり過ぎ……。それに持ち上げ過ぎだが、御陰で一瞬にしてあの不名誉な二つ名では呼ばれなくなった。変なオッサンなんだけど、国民には慕われてるんだよな。今はカーズコールだ。これはこれでむず痒いんだが、さっきのよりは万倍マシだよ。(ありがとう、義父さん。もう充分だ)(いや何、役に立ったのなら何よりだ。明日にはお触れを出しておくからな)(あ、あー、うん、助かるよ……) そこまでしなくてもいいんだけど。まあとりあえずはOK、逆側からのそのそとザコジャイが上がって来る。こいつにはブーイングが容赦なく飛ぶ。他の悪党どもは壊滅したし、こいつもやられると思ってるんだろうね。相当悪さをしてきたんだろう、もう観衆は敵意丸出しだ。「くそっ、どいつもこいつも使えねえな……」 なんかブツブツと悪態をついてるな…、うむ、こいつに勝手に喋らせておくだけでもへし折れそうだ。頭を使おう。さあ、自分の汚い内面を
場内は何だ? 何でだ、と騒ぎ始める。そりゃそうだろ、登録試験なんていつもやってる程度のことだろうし。こんな中で受けさせるなよな。パンチパーマの筋肉達磨をジロりと睨んでやる。ド田舎のヤンキーのガンたれを喰らえ。「う……、すまない、カーズ。Aランク試験が終わるとどうしても観客が散ってしまう、だから姫のデビューのお披露目は間に入れることになってしまってな…」 ハハーン、なるほどー。今度はジロりと王様を睨んでやる。ド田舎のヤンキーの(以下略)「ハハハ! そういうことだカーズ、許せ。それに其方がトリを飾る方が盛り上がるだろう!」 やっぱこのオッサンか……、もう調子良すぎて尊敬するよ。「武器の扱いと魔法のテストの2つだろ、どうすんだよ?」「ど、同時進行だ……!」 申し訳なさそうに言うパウロ。どもってるじゃねえか。目も泳いでるぞ。「またかよー。王様さー、そういうの職権乱用って言うんだぞ。国営だったとしてもそういうあからさまな根回しはまずいだろ?」「王様ではない、お義父さんだぞ、我が息子よ」「あー、うん。もういいよ、パパって呼んでやるよ……」「うむ、その響きもなかなかの新鮮さがあるな……」 ダメだこりゃ……w「まあまあ、俺らも折角だし大観衆の中で見たいしよ。な、我が弟カーズ!」「そういうことです。アヤの晴れ舞台、それくらい派手でなければ、ね、我が弟カーズ?」「はあ、アランにレイラ、あんた達もかよ……。それ流行ってんの? アヤ、大丈夫か?」 神格で能力が大幅に強化されているとはいえ、レベル的にはまだ30に満たない。心配にもなる。この大観衆だしな。ていうかここの観衆みんな仕事はどうしたんだよ? 暇なの?「うん、このくらい国民の前で挨拶したりするのに比べたら全然平気。それに、これであとはあの犬だけになるしね」 殺る気満々だ……。もうこうなったら止めても無駄だな。装備の確認をするアヤを見る。「そっか、まあ仕方ないけど。怪我だけはしないでくれよ」「心配し過ぎだって。サッサと片付けてくるからね」 ノリノリだな。そう言って俺をギュッと抱きしめてくる。可愛いので俺も抱きしめ返してしまう。「ハイハーイ! イチャイチャはあとでー、アヤちゃん容赦しちゃダメだからね!」 おい煽るなユズリハ、エリックもうんうんと頷いているし。「アヤ様、ご武運を!」 クレ







